小学生の頃、学校の先生の言うことは結構絶対的な意味を持っていた。誰先生に言われたかは覚えてないが、図工の時間に、
「絵は全部塗らなーいかん」とか、
「太陽は描かんれん(描いたらダメ)」とか言われたことは、いまだに記憶している。
小4の時、近所の小5生と一緒に絵を習いに行ってたことがあった。
ある日、ブドウを水彩絵の具で写生したことがあったが、先生がいくつかブドウの粒をお手本として描いてくれて、ハイライトを紙に白を生かした表現で、塗り残してたのを、自分が白の絵の具で塗りつぶしたことがあった。絵の先生から、
「ここは塗ったらいかん」と注意された。自分としては、学校で言われた『全部塗らなーいかん』というのが頭の中にあり、無言のまま全部の粒を白で塗りつぶした。(絵の先生に制作途中の作品を見られるのは嫌だった)
今考えれば、絵の先生の言われたようにした方が確かに良かったと思う。何度か空白を塗り直す自分に、絵の先生は、はじめの2度ほどは注意してくれたが、3度目の注意は無かった。(『何か理由があるんだ』と察したようだった)描かれたブドウはもちろん、色が濁り汚くなっていた。
もう一つ。小5の時に絵の上手だった友だちと一緒に、八王子(神社)にスケッチに行ったとき、山の上でクレパスで風景を描いていると、二人の上級生(多分小6)が来て、
「描いちゃお(描いてあげる)」と言って、嫌がる二人の画用紙を半ば強制的に取りあげて、太陽をそれぞれの絵に描き込んだ。自分たちは、『太陽は描かれん』ということが頭にあったから、太陽の描きこまれた絵を、朱色(描かれた太陽の色)でむちゃくちゃに塗りまくった。
「ああ、そんなことしたら…」戸惑ってる二人の上級生達の『余計なお世話』に対する『せめてもの反抗』だった。(正直言うと、自分の絵に描かれた太陽より、友だちの絵に描かれた夕日の方が、ややカッコいいとは思ったが…)
今思えば、上級生たちも、そんなに悪意を持ってやったことではなかったようだ。
カテゴリー: 随筆
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