家の庭に、今年の春先から、夕方になると黄色い花をつける植物がたくさん生えてきた。ちょっといい感じの花だったので、毎年、庭中に振り撒いていた除草剤の散布をとり取りやめて、今年はその草だけを残して、周りの雑草を取り除いた。
(一体何の花なんだろう?)と思い、写真を撮りネット上で画像検索をした。
(芥子…?)検索気を使って似た画像に辿り着いたのは、二、三枚。数百件の画像を見た後だったし、
(なんか花びらもちょっと違うみたいだけど、葉は似てるし…)ということで、十分に得心の行かないまま床に就いた。
ある日、隣の内山さんが庭の手入れをしているのを見つけ、庭越しに声を掛けた。
「内山さん、うちの庭、何も種蒔いてないのに、夕方になったら黄色い花がいっぱい咲くんですよ。今は明るいから咲いてないですけど。これケシかな?」内山さんは自宅の広い庭にビニールハウスを持ち、庭中にたくさんの植物を育てられてて、苗を売ったりもされてる方だから、知ってるかもと思って声を掛けたのだが、
「さあ、これだけやったら分からんねえ。花も見てみんと」とのこと。そりゃあ、そうだわと思い、
「そうやね…」で、その日は終わり。
別日、暗くなりかけた頃、窓越しに内山さんの姿を見つけたので、また声を掛けた。
「内山さん、今日は咲いちゅう。こんなん!」
「やあ、見事やねえ。月見草じゃないろうかね」
その後『月見草』のキーワードでネット検索をしてみたが、「おお、これだ!」という感じにはならなかった。
実家に帰った時、自宅の庭の不思議な花の話になって、
「夕方一面に、黄色い花が咲くようになって、隣の人に聞いたら、『月見草じゃないか』って言われたけど…」と言うと、
「月見草やったら、うちにある。今は開いてないけど、夕方になったら、白い花が咲く」とのこと。確かに花は開いてなくて、葉の形状を見てもギザギザじゃなかったので、別物のようだった。
ちょうど、娘が帰って来てて、
「昨日撮った写真がある」と言ってiphonを見せてくれた。
「黄色の花はアメリカの外来種で、白いのが日本のみたい」とのことだった。
数日後、『月見草 黄色』のキーワードでサイト検索をかけて、何気なく開いたサイトで、『待宵草(俗称:宵待草)は黄色い花をつけて、月見草と呼ばれることもある』というフレーズを見つけた。待宵草で検索をかけて、写真画像を見ると、花びらが4枚、葉はギザギザだった。
「これや!」群生している写真も家の庭の花そのものだった。私はなんだか嬉しくなって、花を見せた友人にメールをしまくった。
「へー、そうやったんやね…」とか
「また、宵待草を見に行きたい」とかの返事が帰って来た。
近所の庭には宵待草は生息してないので、家の庭でよく見かけるのは、猫や鳥、昆虫あたりだが、
「猫は基本、肉食やからね」ということで、鳥が運んできた種が、庭に生えた宵待草の起源だろうということになった。鳥の糞も侮れない…。
カテゴリー: 随筆
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